米海軍は、イランとの対峙で3年連続実戦状態の展開を継続。現在、15隻以上の駆逐艦が武器交戦圏(WEZ)に常時展開しており、これは4個空母打撃群分の駆逐艦数に相当する。

中東の米軍基地に対するイランの攻撃により、利用してきた域内ロジスティクス拠点へのアクセスの喪失でディエゴ・ガルシアなど遠隔拠点から補給品を運ぶ必要が発生し、補給線が極端に伸びた。このためMSC(軍事海上輸送司令部)は補給艦の投入を増やしたが、洋上補給の頻度と負荷が大幅に増加している。

また、多くの艦が10か月以上の長期展開を行ったため、計画されていた整備期間が後ろ倒しになる艦が続出し、これにより帰国後に整備が集中する「メンテナンスの津波」が発生する見込み。計画整備の延期は造船所の「仕事の空白」を生み、整備延期によりBAEジャクソンビル造船所は400人のレイオフの危機に直面。海軍は緊急措置として、LCS Wichitaの7,000万ドル相当の整備契約を付与し、雇用崩壊を回避した。しかし、18件の小規模な整備は資金不足でキャンセルされており、整備が集中する繁忙期と、仕事がない閑散期の落差が激しく、造船所の持続性を脅かす構造的問題が浮き彫りになった。

このため、海軍は長期の大規模整備を前提とする従来方式は、高強度の作戦テンポでは成立しないと判断し、小刻みな整備を継続的に実施する「メンテナンス・コンティニューム」へ移行することを決定した。これにより、早期発見・早期修理で故障の連鎖を防ぐとともに、乗員の整備技能を強化し、SIMAs(中間整備拠点)を拡充、艦はより多くの予備部品を搭載し、洋上での自己修理能力を向上させることを狙っている。

イランは、2026年3月21日にディエゴ・ガルシア基地へ2発の弾道ミサイル攻撃(1発飛行失敗、1発米軍迎撃)を行っていることから、同基地への依存も安全視できない。このような補給線の長距離化が艦隊戦闘力に与える主なリスクは以下のとおり。

1 補給頻度・量の制約

・弾薬・燃料・スペアパーツの補充が遅れ「必要なタイミングで必要量がない」リスクが増大

・ミサイル等の局地的な在庫量の「底」が作戦の制約要因となり、交戦継続能力が徐々に低下

2 洋上補給への依存増大

・高脅威環境での補給艦の安全確保や、補給タイミングと交戦テンポの同期が難しくなり「補給のために一時的に作戦(危険)海域から離脱せざるを得ない」状況が増える懸念

・洋上補給の失敗・遅延がそのまま戦闘力の「瞬間的空白」に直結

3 艦の疲労・整備遅延

・故障が蓄積し、重要装備の可用性がじわじわ低下し「故障はしていないがピーク性能が出ない艦」が増加

・同時追尾目標数の減少や迎撃成功率の低下など致命的な戦闘力が劣化

4 ロジ拠点への攻撃・政治リスク

・ディエゴ・ガルシア等の拠点が政治・軍事的に制約されると補給線がさらに伸びる

・敵が補給線を狙うだけで、前線部隊は「弾薬・燃料の残量」を常に意識した慎重な作戦に追い込まれる

5 造船所・整備能力の波打ち

・帰国後に整備が集中し、短期的に戦闘可能艦数が減少する「谷」が発生

・平時の戦力投射能力や抑止のためのプレゼンスが一時的に落ち込み、他戦域(インド太平洋など)での空白が生じるリスク

“3 Years of Middle East Combat Altering How Navy Supplies, Maintains Fleet, Leaders Say,”(Sam LaGrone September 23, 2026 7:19 PM – Updated: September 25, 2026 9:25 AM USNI News)