イラン(IRGC)がホルムズ支配力の低下に直面し、GCC諸国の忍耐も限界に達しつつあるなか、米国は軍事的消耗戦ではなく、イランの収入・物流ルートを体系的に破壊する「経済戦」に軸足を移した。

米国とイランは14項目の覚書(MoU)に基づき停戦交渉を行っていたが、双方の要求が根本的に折り合わず、成功の見込みがほぼ消失。米国の要求は「短期的な平和と国内政治の安定」が中心で、イランの要求は「制裁解除と長期的な体制維持」。湾岸諸国(GCC)とイスラエルは、自国の安全保障を損なう合意を容認できず、停戦の継続にも消極的。両国の攻撃と反撃が再開されるなか、双方とも最近の攻撃の性質が変化し、「長期戦略」へ移行している。

米国(CENTCOM)は、イラン革命防衛隊(IRGC)が商船「Al Rekayyat」「Wedyan」「Cyprus Prosperity」を攻撃したことを受け、SirikやQeshmなどの拠点を反撃。ただし、IRGCは移動式ドローン発射台を広範囲に隠せるため、完全な無力化は困難。米国の現実的な目標は、攻撃規模の抑制と攻撃ヘリなどによる近接防空で商船の通航を確保。

イラン(IRGC)は、ホルムズ海峡の支配力が弱まりつつあることを認識。北側のPGRAルートを「無料通航」として開放し、自国タンカーの輸送確保やGCCへの「懐柔」を試みるが効果なし。報復攻撃は主に米軍基地に限定し、GCCとの摩擦を最小化しようとしている。

ホルムズ海峡では、2月以前は1日120隻が通過していたが、現在は30隻程度の通航確保が現実的な目標。それでも、代替ルート(オマーン沿岸ルートなど)が拡充されつつあり、ただちに世界経済が崩壊するようなことは回避可能とみられる。

米国の新戦略は、イランの「収入ルート」を体系的に遮断することだ。軍事的な大規模展開ではなく、経済的締め付けを中心とした長期戦略に移行。停戦中に一時的に認めていた イランの石油輸出ライセンスを再び撤回した。ホルムズから遠い チャーバハール港の積出施設を攻撃し、イランの「安全な出口ルート」を潰し、ゴレスターン州の鉄道(中国・中央アジアとの連結)も攻撃し、陸上輸送ルートも遮断した。今後は カスピ海の輸送ルートへの攻撃も予想されている。これにより、イランの輸入・輸出・収入を断ち、国内の経済不満を爆発させることを目的としている。

IRGCはホルムズ海峡の支配力が弱まりつつあり、交渉力の源泉が失われつつある。GCC諸国はこれまでイランに一定の忍耐を示してきたが、最近の攻撃(例:カタールのLNG施設破壊、タンカー攻撃)で完全に堪忍袋の緒が切れたもよう。IRGCは今後、フーシ派を使ってバブ・エル・マンデブ海峡を閉鎖する可能性も考えられる。

“Hormuz Attacks and Counterattacks Mark a Change in Strategy,”(Published Jul 9, 2026 7:57 PM by The Maritime Executive)