中国は2022年にソロモン諸島と「警察協力協定」を締結し、地域で影響力を拡大してきたが、太平洋諸国に「中国の治安・軍事プレゼンスが増えるのでは」という懸念を生んだ。事実、中国海軍の駆逐艦「咸陽」が2024年にバヌアツを訪問するなど、バヌアツとソロモン諸島は 中国の軍事外交のターゲットとなってきた。
このような状況を受けて、豪州は太平洋島嶼国での中国の治安・軍事プレゼンス拡大を抑止するため、協定や外交で積極的に行動を始めた。
6月29日、豪州はバヌアツとの間で協定を結び、「バヌアツ領域を外国軍基地や軍事インフラに使用させない」と明確に規定し、中国の軍事的進出を牽制。また、豪州をバヌアツの主要な治安・警察協力国として位置づけ、太平洋島嶼国が中国の治安協力に警戒を強める流れと一致している。
さらに7月6日、豪とフィジーは相互防衛条約に署名した。両国関係を「同盟」に格上げし、一方が軍事攻撃を受けた場合、共同で対処するというものだ。フィジーにとって豪州は初の同盟国で、豪州にとっては米国、ニュージーランド、パプアニューギニアに次ぐ4か国目の同盟国となる。豪州とフィジーは同日、経済や安全保障での協力拡大を目指す包括条約にも署名した。他の島嶼国が加入できる規定を設けており、多国間の安全保障枠組みに広げたい考えだ。
これに先立つ6月3日、中国との秘密性の高い治安協定の見直しに前向きなソロモン諸島の新首相マシュー・ウェールは、アルバニージー豪首相との会見で豪州との関係強化を希望した。ソロモン諸島の新政権が中国との協定見直しを示唆したことで、地域の安全保障バランスが再び豪州側に傾く可能性がある。

参考資料:ISW China & Taiwan Update, July 2, 2026