Bloombergは、イラン戦争によって失われた中国の燃料需要の一部は恒久的に戻らないと報じた。Rystad Energyは20〜60万バレル/日、Energy Aspectsは30万バレル/日が戻らないと予測している。これは、中東供給の混乱、中国国内の在庫積み増しの停止、製油所の稼働削減、燃料輸出の禁止が重なって輸入量が大幅に落ち込むという予測だが、IEAも2026年の中国の石油需要は36万バレル/日減少としており、1970〜80年代のオイルショック以来の大幅減となる可能性が高い。
中国国内では、戦争初期の原油価格高騰がEVシフトを加速させ(2026年4月のEV登録は全体の42%(3月は38%))ガソリン需要を恒久的に押し下げた。ガソリン車の新車・中古車価格は下落しており、Rystadは「EVに乗り換えた消費者は燃料価格が大幅に下がらない限り戻らない」と分析している。
また、中国の原油需要の大部分は「ストックビルド(在庫積み増し)」依存だったことが戦争を通じて明らかになった。中東供給が回復すれば在庫積み増しは再開し得るものの、EV化で失われた需要は戻らないだろう。
中国は長年、世界の原油市場の「最後の買い手(buyer of last resort)」だったが、戦争中、中国が輸入を抑えたことで世界の供給ショックは吸収されたかたち。今後、中東供給が戻っても、中国がどれだけ市場に戻ってくるかが世界価格の決定要因となるだろう。
今後、一部が回復する要因としては、在庫積み増し再開、製油所稼働増、輸出規制緩和が考えられるが、中国の燃料輸出枠が1,700万トン残っており、輸出再開の余地があり、ガソリン・ディーゼル輸出は戦前レベルに戻る可能性。在庫積み増し再開の条件としては、原油価格が65〜70ドルに下がることが必要だが、現在の戦略・市場在庫は約100日分とされている。
“Chinese Oil Imports May Never Fully Recover From Iran War,”(Bloomberg June 22, 2026)