フィリピン沿岸警備隊は8つの構造物または物体を把握し、6月8日のフィリピン空軍の上空偵察で、6名が常駐する構造物とアンテナらしき設備を確認した。フィリピンは6月9日に正式抗議。
中国外務省は否定せず、「スカボロー礁は中国領であり、科学調査などを行う権利がある」と主張しているが、2002年のASEAN–中国行動宣言(DOC)では、未居住の地物への居住を控えると規定し、現在、より拘束力のある南シナ海行動規範(COC)を交渉中だが、内容を巡り対立が残っている。
中国はスカボロー礁での既成事実化をCOC最終化前に進めようとしている可能性がある。これまで中国は海警局や海軍による半常駐的なプレゼンスは維持していたが、居住はしていなかった。しかし今回の「有人構造物」は、ミスチーフ礁での前例(段階的占拠→埋め立て→軍事基地化)と同じパターンの初期段階に見える。浮体式であっても、恒常的な中国プレゼンスの布石となり得る。
中国は南シナ海で軍事インフラを大規模に整備し、海上支配能力を拡大し、東南アジア全域へのパワープロジェクションを狙っている。また、南シナ海の重要な海上交通路(SLOC)や豊富な資源を背景に、他国の利用を制限する戦略を追求。
今回のスカボロー礁はフィリピンに極めて近く、中国がここを拠点化すれば、フィリピンEEZ内での威圧行動が容易になる。これにより、フィリピンの主権主張を弱体化させ、南シナ海全体での中国の優位性を強化する効果がある。
ISW China & Taiwan Update, June 12, 2026