ロシアが支配する北極海航路(NSR)での海運は、今年、記録的な数の船舶が許可を申請し、大きな成長が見込まれている。NSRは、7月1日から11月30日までの間、開設される。

国営原子力エネルギー会社ロスアトムは、5月27日現在、外国籍船を含め196件の航行申請が出されており、今年は外国船による航海が50%増加すると予想していると述べた。ロスアトムはロシアの砕氷船隊を支配し、北極海航路での運航を担当している。

通航する船舶の大部分は、ヤマルLNGやアークティックLNG2などのロシアの北極圏ガスプロジェクトからの液化ガスを輸送するLNGタンカーだ。夏季航行では、約30隻のLNG船がNSRの通過許可を得ている。しかし、ロスアトム傘下のNSR管理局の登録によると、少なくとも5つの制裁対象運航会社がこのリストに含まれている可能性がある。

欧米がロシアに対する経済制裁を強化する中、制裁対象のロシア産石油・ガスを国際市場に輸出する「影の船隊」が台頭している。バルト海では、「影の船隊」は地域の海上安全に対する脅威と見なされており、海底ケーブルの破壊工作が報告されている。

来月、NSRが開通すると、「影の船団」の一部がこの航路に移行する可能性が高い。ロシアは、NSRをスエズ運河ルートよりも短いと売り込んでいるが、この航路を競争力のあるものにするためには、砕氷船隊と北極圏の港湾インフラの拡大が必要である。

昨年、NSRは2023年の3,500万トンから3,800万トンと過去最高の貨物量を記録した。

参考資料:”Russia Projects High Demand for its Arctic Shipping Route in the Summer,” (Published Jun 1, 2025 9:11 PM by The Maritime Executive)