フィリピン沿岸警備隊は、中国の「海警21559」とフィリピン漁業水産資源局調査船「BRP Datu Sanday」が、5月21日、係争海域であるサンディケイ付近で衝突し、その際、海警が放水銃を使用している映像を公開した。両国は、ここ数カ月、この海域で領有権主張を繰り返しており、それぞれが沿岸警備隊員を上陸させ、砂浜に自国の国旗を掲げて写真を撮らせている。
フィリピン農務省漁業水産資源局は、「定期的な海洋科学調査ミッション」を実施していたとし、調査任務は完了したが、中国が調査船に放水中を使用したのは初めてであると発表している。中国の国営メディアはこれに対し「侵害」と呼び、フィリピンの船舶が不法にこの海域に侵入し「不法に」サンゴ礁に上陸したと述べた。
米国、英国、日本、オランダ、台湾、欧州連合(EU)の大使は、事件の報道後、フィリピンへの支援メッセージをオンラインに投稿した。メアリー・ケイ・カールソン(MaryKay Carlson)米国大使は、中国艦船が「無謀にも人命を危険にさらし、地域の安定を脅かした」と記した。オランダは放水銃の使用について懸念を表明し、英国は「中国海警局による危険な活動」を非難した。
この事件は、中国軍が、座礁したフィリピン艦艇「シエラマドレ(BRP Sierra Madre)」への補給を中国の監督下で許可したと報告したのと同じ週に発生した。フィリピンは、1999年以来、南沙諸島のセカンド・トーマス礁に座礁している同艦に「基地」を維持している。フィリピンは、係争海域でのプレゼンスを維持するために同艦を「配置」したが、中国は同艦が違法に座礁していると主張している。中国軍の報道官は5月20日、中国海警局は引き続き「権利保護と法執行活動」を行うと繰り返し述べた。
参考資料:“Video: Chinese and Philippine Vessels Bump as China Uses Water Cannons,” (May 22, 2025 12:59 PM by The Maritime Executive)