EUと英国は最近、ロシアの石油取引を取り締まり、ロシア産原油に対するG7の上限価格を遵守させるための最新の取り組みとして、制裁対象のタンカーの数を増やした。
さらに12月17日、エストニアのミハル首相は、ロシアのバルト海と北海の石油輸送ルートのNATO沿岸国6ヵ国(英国、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ポーランド、エストニア)は、主要な通過地点で「影のタンカー」に保険の証明を求めることに合意したと発表した。タンカーが要請に応じない場合、「国際的なパートナーと調整して対処される」とされ、将来の制裁対象船舶とされる可能性がある。
ロシアの「影のタンカー船隊」は、老朽船が多い上に管理が不十分、また運航時に水先案内を避ける傾向があることから運航の安全が懸念されていた。さらに資金力のある欧州の保険市場から保険を受けることができないため、大規模な油流出などが発生した場合に船主が保険金を支払えないのではと考えられている。
NATOの方針発表を受けてデンマーク軍情報当局は、ロシアが対抗措置として「影のタンカー船隊」に海軍の護衛を付けたり、すでに深刻な問題となっているGPS妨害をさらに強化する可能性などを指摘した。その場合、ロシアがNATO諸国の軍用機や艦船に対して軽微な衝突を含む脅威を及ぼすかもしれないと警告、さらにそのリスクは、戦略的重要性が増している北極圏にも及ぶ可能性を指摘した。
戦費調達のために石油輸出に頼るロシア、制裁逃れの取り締まりの強化に乗り出すNATO諸国、トランプ次期政権発足に向けて様々な動きが出てきたようだ。