12月23日、ロシアの軍事企業Oboronlogistikaの子会社によって運航されていた「Ursa Major(おおぐま座)号」は、ジブラルタル海峡を東航後、スペイン沖で機関室の爆発で沈没した。
同船は東地中海にあるロシア海軍の長年の基地であるシリアのタルトゥースへの補給を担っていたため、米国財務省は2022年5月、この重量物運搬船をウクライナ関連の制裁対象に含めていた。
航行中の同船は空荷で甲板上に2台のクローラークレーン(キャタピラ式台車にクレーンを備えた移動式クレーン)を搭載していたことが確認されており、タルツゥース海軍基地からの重量物の撤去のために向かっていたのではないかと考えられている。なお、AISでは1月22日にウラジオストク入港の予定を表示していた。
米戦争研究所(Institute for the Study of War)によれば、23日の時点でロシア兵はシリア内陸部の基地から完全に撤退し、タルトゥース海軍基地とフメイミーム空軍基地に集結しているという。ロシアが最終的にシリアから撤退するかどうかは不明とされているが、EUもシリア新政権との外交関係の条件としてロシア軍基地の閉鎖を求める意向との報道もあることから、ロシアの地中海における軍事プレゼンスの大きな転換点にさしかかっているようだ。