中国広東海事局は、8月6〜9日に台湾海峡北上船舶に対する交通管制を宣言し、台風の接近を理由に「厳格な交通管制への遵守」「現場の海事管理機関の指示に従うこと」を要求した。これは台風を「利用」して管轄権拡大を試みているとみて台湾大陸委員会と海巡署は強く反発し、台湾海峡は国際水域であり中国に交通管制権限はないと主張。海巡署は商船に対し、中国の放送を無視すること、受信した場合は台湾側へ通報することを指示した。
また、海保巡視船「うらど」が台風避航のため台湾海峡に入った際、中国の「海警2307」が並走、海峡南部から北部まで行動を監視した。台湾の接続水域・領海には侵入していない。中国は、6月6〜10日に台湾東方で「海事法執行」任務を実施し、通過する商船に対し航行情報の提出を要求するなど、管轄権を主張していた。中国は2024年以降、台湾東方海域、台湾の離島周辺での定期的な巡回を継続している。
中国は台湾周辺海域を自国の管轄水域として扱う試みを段階的に拡大しており、今回の台風を理由とした交通管制は、外国船舶が中国の指示に従うかどうかの「反応テスト」だと考えられる。
加えて、中国は台湾東方EEZにおいて、8月12日、中・インドネシア海軍演習(中国フリゲート「紅河」とインドネシア海軍フリゲート「I Gusti Ngurah Rai」参加)を実施したが、内容は通信・連携の確認であり、戦闘訓練は含まれなかった。中国の国防部や『環球時報』は、「台湾東方EEZで外国海軍と初めて演習した、台湾東方EEZは中国の主権・管轄権の及ぶ海域である」と主張した。一方、台湾側は、中国の主張は「虚偽の印象を作り出す政治的操作」だとし、インドネシア海軍も「ウラジオストクでのロシアとの演習の帰路で、通過国と通常の演習を行っただけ」としている。
中国は、台湾周辺海域を自国の管轄権内として扱う既成事実化を段階的に拡大しており、日本の巡視船への監視行動は、台湾海峡での中国の行動拡大を示す重要な兆候。また、インドネシア演習の政治的利用は、第三国の通常行動を中国が主権主張に転用する典型例といえる。
ISW China & Taiwan Update, Aug 14, 2026
