南アフリカ政府は11月に予定されていた中国とロシアとの重要な海軍演習を延期すると発表。これは、同月に南アフリカで予定されているG20サミットとの重なりを回避するためと解釈されている。同サミットにはバンス米国副大統領が出席する予定だが、過去数カ月間、南アフリカは政策の違いからトランプ米大統領の標的となっており、先月、南アフリカの米国への輸出品には30%の関税が課せられたところだ。

南アフリカ国防省は、演習の延期は南アフリカのG20議長国に関連する活動を考慮したものだと説明した。南アフリカは昨年12月にG20議長国となり、来る11月に米国に引き継ぐ予定だ。

予定されていた中ロとの三国間海軍演習(EX MOSI)は第3回目で、BRICSパートナー間で2年ごとに実施されているものだ。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は経済協力に重点を置いてきたが、その範囲は次第に軍事面にも拡大していた。

先週行われた上海協力機構(SCO)首脳会議でも、BRICS諸国は存在感を示し、トランプ関税などに対抗し「より公正な多極的世界」の構築を目指すとした。今後、このような演習のあり方を含めて、米中の大国間競争を伴いながら進む「多極化」の行方に注目だ。

参考資料:”G20 Summit Forces S. Africa to Cancel Naval Drills with China and Russia,”(Published Sep 7, 2025 10:08 PM by The Maritime Executive)