イスタンブールで開催されたIDEF 2025展示会(7/22-27)で、トルコのDatum社は、海底戦(seabed warfare)専用に設計された「ガーナード(Gurnard)」小型潜水艦を発表。

2022年9月26日のノルドストリームに対する破壊工作鵜は、「海底戦」という言葉を想起委させたが、それは何も新しいものではなく、ロシアと米国の両方はこの極めて重要な目的のための潜水艦を保有し運用してきた。有名な作戦のひとつは、米海軍がソ連の通信ケーブルを盗聴したアイビー・ベルズ(Ivy Bells)である。

このような特殊作戦に用いられた潜水艦の中には、海底戦作戦用に改造された大型原子力潜水艦もあれば、CIAまたはGRUが運用する特別に設計された小型原子力潜水艦もある。アイビー・ベルズに使われた米海軍の「ハリバット(SSGN/SSN-587, USS Halibut)」はSSGNに改造されたのに対し、「NR-1」は海底戦用に特別に建造された超小型原子力潜水艦で、排水量わずか400トン足らずで史上最小の原子力潜水艦だった。

国際データ通信の99%は海底ケーブルに依存しており、ウクライナ戦争が始まって以来、妨害行為やアンカーの損傷による事故がバルト海だけでも少なくとも11件発生している。海底ケーブルが損傷した場合、その損傷箇所を特定するのは非常に難しく、損傷したケーブルの修復には多額の費用がかかり、経済に及ぼす影響も大きい。

海底ケーブルには、保護するためのシールドがあるが、物理的な損傷に対して非常に脆弱である。ケーブル・グリッパーとカッターは、すでに海洋工事の現場で広く使用されている。フランスは2022年の海底戦戦略計画で、海底戦作戦を実施する領域を、世界の海洋の98%を占める6000mまで拡大した。一方で、中国は2025年3月25日、水深4000mで海底ケーブルを切断するシステムを保有している公表した最初の国となった。

中国はすでにこれらよりも深海で作業できるビークルを保有しており、自動化工場の内部で見られる産業用ロボットアームを防水型にしたケーブルカッターを取り付けることができる。

第二次世界大戦以来、イタリア海軍は秘密作戦における世界をリードする技術で非常によく知られており、公表された最新のAE-90潜水艇は非常に興味深いビークルである。ドライデッキシェルターを必要とせずに、イタリアの在来型潜水艦サウラとトダロの背中に乗せて運搬できるとみられている。

イスタンブール工科大学では、Datum Submarines社がさまざまな目的でミニ潜水艦を開発している。同社の最初の潜水艦は、トルコ初の国産ミニ潜水艦(Çok Amaçlı Mini Denizalti – ÇAMD)であり、トルコ政府によって資金提供され、所有されている。Datum社は、ÇAMDのより武器化されたバージョンのTrançaミニ攻撃・特殊部隊潜水艦など、新たな要求に合わせてさまざまな設計を行っている。

Datum社の最新設計である「ガーナード」は、マニピュレーターにより海底ケーブルに損傷を与える海底戦を行うように設計されており、ターゲットに対して2個のマラマン(Malaman)機雷を設置できるものだ。

参考資料:”IDEF 2025: “Gurnard” Mini submarine for Seabed Warfare Operations,”(Published on 07/08/2025

By Naval News Staff)