今月初め、米空軍とノルウェー空軍は、ノルウェー海の海上目標に対してアメリカ空軍の新型対艦爆弾「クイックシンク(Quicksink)」の試験に成功した。
クイックシンクは、通常の2,000 ポンド爆弾に対艦誘導キットがボルトで固定されたもので、目標艦の舷側近くに着水し、キール下の設定深度に達すると爆発するように設計されている。小型商船に対する試験では、爆発後、船体は真っ二つに破壊され20秒以内に完全に沈没した。これは、一般的な重量級魚雷による破壊方法だが、クイックシンクははるかに小さなコストでそれを達成したことになる。


クイックシンクは、はるかに高速で広範囲の空中から魚雷なみの破壊力を低コストで開発することを目指している。今回はミズーリ州ホワイトマン空軍基地からB-2爆撃機がノルウェー海まで飛行し、現場海面でノルウェー空軍のF-35戦闘機4機とP-8Aポセイドン哨戒機1機と会合、ノルウェー戦闘機の護衛を受けて、B-2が海上目標に爆弾を投下し撃沈した。
この試験は、ロシアの漁船、調査船、タンカーの行動に関する疑惑など、ロシアとNATOの間の緊張が高まる中で行われた。バルト海では、ロシアと関係のあるタンカーが海底ケーブルの損傷未遂または実際の損傷で告発されている。北欧全域で、防衛計画立案者は、ロシアの調査船が重要な海底インフラの近くで過ごした時間の長さを懸念している。そして、ロシアの漁船団はNATO部隊をスパイしていると広く疑われており、ノルウェーは彼らのアクセスを厳しく制限している。
紛争が発生してノルウェーのガスをヨーロッパに供給するために不可欠な戦略的海底パイプラインに脅威をもたらす場合、クイックシンクのような安価で実績のある兵器は、これらの小型船舶の脅威を解決するための費用対効果の高い方法となるだろう。新たに500ポンド爆弾でも同様の試みを行う予定だ。B-2のようなステルス機と組み合わせることで、北大西洋の紛争地帯から離れたバレンツ海にロシア北方艦隊の水上戦闘艦を封じ込める効率的な抑止力にもなることが期待されている。
参考資料:”U.S. Air Force Tests Out Anti-Ship Bomb Near Russia’s Doorstep,”(Published Sep 14, 2025 7:42 PM by The Maritime Executive)