過去数カ月間に広州の黄浦造船所で目撃された新造艦は、多くの中国政府の秘密プロジェクトと同様、何も公に明らかにされていない。長さ65メートルの船体は、ほとんどが防水シートで隠されており、この造船所では異例である。衛星画像の分析では、艦尾にトリマラン(三胴船)アウトリガーを備えた非常に長くて細い船体であることが分かり、長い前甲板に大きな箱のようなケーシングがある。通常の乗組員用のスペースはほとんどなく、上部構造が小さいため、無人または最小限の乗組員が運用する可能性が高い。また、船体形状は非常に高速を出せるように見える。

これらの特徴から、この艦は半潜水型のアーセナルシップである可能性が高い。中国のネット上では2017年にこのような艦の噂が流れていたが、遂に実際に建造されるに至ったと思われる。全体のサイズを考えると、前甲板に垂直発射システム (VLS)が装備されれば、巡航ミサイルを格納するのに十分な深さを持っていると考えられるが、前甲板の鮮明な画像が得られていないため推測の域を出ない。

もうひとつの可能性は、ミサイルの代わりに大型マルチロータードローンを搭載するドローンキャリアであるというものだ。前部船体は、ウクライナの小型無人水上艦艇(USV)のドローン格納庫に似ており、そうであれば、この艦は数十機のドローンまたは通常のUSVよりもはるかに大きなドローンを搭載できる可能性がある。

また、黄浦造船所は以前に711型「インマフ(Yinmahu)」のような半潜水輸送船を建造したことがある。その船では、他の船を運ぶために大きな甲板があり、水上ドローン (USV) や大型水中ドローン (XLUUV) を搭載して遠方で発進させる可能性もある。その他、特殊部隊や兵員輸送用の可能性も排除できない。

中国海軍のこのような艦の開発ペースは加速し続けており、広大な造船所、豊富な人材(西側の大学で訓練を受けた多くの造船技師やエンジニア)、そして莫大な予算との組み合わせにより、数多くのユニークな軍艦が出現している。

参考資料:”Unusual Black Trimaran Drone Ship Spotted In Chinese Shipyard,”(Published on 29/10/2025

By H I Sutton, Naval News)