中谷防衛大臣は、6月7日、海上自衛隊が南鳥島の南西約300kmの海域で空母「遼寧(16)」を含む複数の中国海軍艦艇を、また、同日、宮古島の南東約550kmの海域において、空母「山東(17)」を含む複数の中国海軍艦艇を確認したことを明らかにした(6月10日記者会見)。

その後、両空母は艦載機の発着艦などを行ったが、中国海軍の空母2隻が同時に太平洋上に展開し、硫黄島より東側の海域で活動したことを確認するのは初めてである。また、7日と8日、太平洋上の公海上空において、警戒監視を行っていた海上自衛隊のP-3C哨戒機に対して、中国軍の空母「山東」搭載のJ-15戦闘機が特異な接近を行ったことも明らかにされた。

硫黄島を含む列島線はいわゆる「第2列島線」を形成しており、その東側の海域は中国軍のA2/AD(接近阻止・領域拒否)のうち米軍の接近を阻止する海域とされている。

今回の2隻の空母は別々に行動していることから、米海軍の複数の空母が緊密に連携して作戦を行うような「デュアル・キャリアー」の用法の域には達していないが、今後は中国海軍のプレゼンスが西太平洋海域に広がることが予想される。