フィンランドのハッカネン国防相は、5月24日の国営TVのインタビューで、「ロシアがフィンランド湾の狭い航路で、「影の船隊」タンカーを護衛している。これは前例のない新しい展開だ」と述べた。また、5月23日午後にロシアの軍用機2機がフィンランド領空を侵犯した疑いがあり、調査中であることも明らかにした。
このエスカレーションは、EUと英国がより多くのタンカーを制裁する動きと、エストニアが「影の船隊」の疑いのあるタンカーを検査する取り組み(4月に「無国籍」タンカーを数日間拘束、5月13日には同様のタンカーと短時間のにらみ合いがあり、ロシアの戦闘機がエストニア領空に侵入した)に対応したものと思われる。
5月の事件後、ロシアのネベンジャ国連常駐代表は、この行動を「バルト海賊」と呼び、EUを「航行の自由の甚だしい侵害」の「チアリーダー」と非難した。ペスコフ報道官も、ロシアは自国の艦船を守るためにあらゆる手段を使うと述べた。
「影の船隊」の一例として、5月13日の事案に関与したタンカー、ガボンで登録された「ジャガー(Jaguar, 105,000重量トン)」は、5月25日、プリモルスクのロシアの石油ターミナルを出港したが、AIS信号は、同船が現在「ブリント(Blint)」という名前で航行し、コモロに登録されていることを示している。同船は、2025年に「アージェント(Argent)」として始まり、「ジャガー」、そして今回の「ブリント」へと数ヶ月のうちに3回名称を変更している。
EUは最近、寄港が予定されていない場合でも、EU海域を航行する船舶の検査を許可する規則を制定した。最近の事件の後、エストニア国防省は、疑わしい船舶の検査努力を続けると述べている。
参考資料:”Finland Reports Russia Has Begun Naval Escorts for Shadow Fleet Tankers,” (Published May 26, 2025 12:23 PM by The Maritime Executive)