ロシアは、スーダンに海軍基地を設置する計画を一時停止し、「スエズの東」に駐留するという希望を終わらせたとしている。
クレムリンは当初、当時の独裁者オマール・アル・バシール政権時代の2017年に海軍基地建設の協定を結んだが、2023年にスーダンで内戦が勃発した後、協定の批准は行き詰まった。しかし、ポート・スーダンを支配するスーダン軍(SAF)は今年初め、ロシア基地の設置に障害はないと示唆した。
しかし、SAFとライバルの即応支援部隊(Rapid Support Forces:RSF)との間の内戦が激化する中、ロシアは近い将来に基地を建設する見通しはほとんどないと見ている。アンドレイ・チェルノヴォル駐スーダンロシア大使は地元メディアとの最近のインタビューで、スーダンが基地に関する協定をすぐに批准する可能性は低いと述べた。
内戦の激戦地は国の中西部地域だが、北東部も免れない。5月には、ポート・スーダン近郊のスーダン海軍基地に対する大規模なドローン攻撃が行われ、RSFが(外国の支援を受けて)ロシアの将来の基地に損害を与えうることを示した。
インド洋での恒久的なプレゼンスを確保することを望んでいたロシアとしては、基地協定の停止は大きな後退となる。さらに、この基地はソ連時代以来、ロシアにとってアフリカにおける最初の海軍基地となったはずで、紅海に面したポート・スーダンの立地は、世界の重要な海上のチョークポイントであるスエズ運河に近い戦略的位置からロシアにとって魅力的だった。
しかし、たとえ基地建設がスーダンで進められたとしても、ロシア海軍は現在、ウクライナでの戦争が続いているため、割ける資源に制約がある。そのひとつは、地中海におけるロシア海軍のプレゼンスが低下していることだ。2018年には、ロシアは少なくとも2隻の潜水艦と10隻の水上艦艇を地中海に展開していたが、過去数カ月間、この地域におけるロシア海軍のアセットはここ数年で最も少なく、多くの場合、監視船が支援するキロ級潜水艦1隻のみとなっている。
このプレゼンスの減少は、地中海艦隊に重要な補給と修理サービスを提供していたシリアのタルトゥースにあるロシアの海軍基地の喪失に起因している。この状況を受けてロシアはすでに、地中海に代わりバルト海と北極圏でのプレゼンスを強化するために海軍アセットを再展開したところだ。
参考資料:”Russia Suspends Red Sea Base Plans as Sudan War Rages,”(Published Nov 13, 2025 10:54 AM by The Maritime Executive)