2024年10月3日、イギリスはディエゴ・ガルシア島を含むチャゴス諸島の領有権をモーリシャス共和国に移譲することを発表した(11/8投稿)。しかし、新たに選出されたラングーラメド次期首相は、前政権から引き継いだ協定案を「国民が期待できる利益」をもたらさないとして拒否する姿勢を示した。

 英国内でもこの協定案に対してはディエゴ・ガルシアのアメリカ海軍基地に対する中国の干渉を招きかねないとか、国連の場でのイギリスの主権継続に対する反対はロシアと中国の画策によるものだとの批判がある。また、チャゴス諸島島民にしてみればイギリスの市民権を失うばかりか、意に反してモーリシャスに移送され差別的な扱いをされるのではとの懸念がある。島民の間では、フォークランド諸島民やジブラルタル人の間で行われているのと同様の住民投票を求める声が上がっている。

 イギリス政府のパウエル首席交渉官は急遽モーリシャスを訪問し、経済援助の増額など修正した条件を提示するもよう。報道によると次期トランプ政権は協定案に反対していることから、イギリス政府は来年1月20日の大統領就任式前に、修正された条件で合意を強行しようとするのではないかとみられている。

参考資料:“Mauritius’ New Government Rejects Diego Garcia Deal,” (Dec 18, 2024 11:48 PM by The Maritime Executive)