ウクライナ諜報機関は、ロシアの最新型ボレイA級戦略原子力潜水艦「クニャズ・ポジャルスキー(Knyaz Pozharsky)」に関する広範な秘密ファイルを入手したと発表した。具体的な諜報成果を公表するのは極めて異例だが、和平交渉の動きもある中、ウクライナの諜報活動がロシアの深部に及んでいることを示すねらいがあったのだろう。もしこのファイルが本物であれば、この漏洩はロシアの国内治安機関にとって大失態であり、潜水艦、乗組員、設計者を標的にするために利用される可能性がある。

伝えられるところによると、入手したファイルには乗組員の名前、資格、役職の一覧、潜水艦の戦闘行動手順書、潜水艦のダメージコントロールに不可欠なシステムと戦闘能力、貨物の受け渡しや曳航作業など、日常のさまざまな作業のための完全な手順、潜水艦の日課を示すスケジュールブック、ボレイ級の陸上技術スタッフの名前を特定できる損傷報告書などの技術文書を含んでいるという。

ウクライナ側は、諜報員が入手した情報により、「クニャズ・ポジャルスキー」だけでなく、ロシアにとって極めて重要な「潜水艦プロジェクト955A(ボレイII級)」の特徴や技術的限界も特定できると主張している。

「クニャズ・ポジャルスキー」は、16発のブラバSLBMを装備した24,000トンの核弾道ミサイル潜水艦で、それぞれ最大10発の核弾頭を最大9,000km離れた地点に発射できる。ポジャルスキーは同型艦の8番目で最新で、先月プーチン大統領が出席した式典で引き渡されたばかりだ。ボレイ級はポンプジェット推進システムのおかげで、以前の同型艦よりも優れたステルス能力を備えているといわれており、ポジャルスキーはステルス性をさらに向上させるために段階的なアップグレードを行って建造されている。なお、この潜水艦は、1612年にモスクワからポーランド軍を追放したロシアの司令官にちなんで命名されている。

参考資料:”Ukraine Claims to Steal Secrets of Russia’s Newest Ballistic-Missile Sub”(Published Aug 6, 2025 6:08 PM by The Maritime Executive)