3カ所のイラン核濃縮施設に対するアメリカの攻撃の前後でディエゴ・ガルシア基地の航空機に変化はなかった。これは、5月22日にイギリスとモーリシャスが合意した協定の問題を如実に示している。

この協定は、1814年以来英国が所有してきた群島の正式な主権をモーリシャスに委ね、その見返りとして、ディエゴ・ガルシア基地とその周辺の24マイルの緩衝地帯を英国に即時リースバックするというものだ。この協定は、今後99年間、島での英米共同基地の運用を継続すること、さらに40年間の延長、そしてその後の先取拒否権を認めるものだ。この協定は法的にはまだ批准されていないが、それまでの間も協定の条項を尊重するのが一般的な慣行だ。

この協定には多くの条項があり、ディエゴ・ガルシアから直接第三者に仕掛けられた攻撃について、英国がモーリシャスに「迅速に通知」することを義務付けているものがある。この条項はさまざまに解釈される可能性があるが、英国の司法長官はすでに、今回のような攻撃を事前に報告する義務が含まれると考えていることを示唆している。モーリシャスは中国との緊密な関係があるため、通知の義務は、米国と英国の計画の運用上のセキュリティを侵害する結果になる可能性がある。やがて、ディエゴ・ガルシア島にモーリシャスの公式な出先機関が存在し、米英軍の動きについて報告し、中国政府にさらに早期に警告を提供することができるようになる。

アメリカ合州国が、この地域や隣接する飛行場に、何百機もの追加航空機を配備している時に、ディエゴ・ガルシア島については、何も大きな変化はないように見えた – イランに対する作戦のためのいかなる緊急時対応計画においても、ディエゴ・ガルシア島は、前線作戦基地として特徴づけられていなかったことを示している。

今回のイラク攻撃に先立って、ディエゴ・ガルシアの南ランプの衛星画像に見られる航空機は、4機のB-52、6機のF-16E、5機のKC-135、そして1機の大型輸送機が含まれていたが、これはB-2爆撃機が5月25日に飛行場を去って以来、同じ戦力構成だった。攻撃後の数時間でも、この戦力構成はほとんど変化していなかったことから、ディエゴ・ガルシアの米軍機はイラン攻撃に直接関与していなかったことを示唆している。

米国の作戦計画立案者は、今回、ディエゴ・ガルシアの使用を最小限に抑えることにより、潜在的な作戦保全の問題を回避することを選択したようだ。有事に基地の利用が妨げられる場合、今後の継続的な有用性について見直されることになるかもしれない。

英国は、モーリシャスに最初の3年間、年額2億2000万ドル、その後の10年間は年額1億6000万ドル、その後はインフレ調整されることになっている。これらはすべて英国の国防予算のコストであるが、米国にとっての基地の価値は減少することになるだろう。

参考資料:”Limited Use of Diego Garcia Reflects its Diminished Value After Handover,” (Published Jun 22, 2025 2:51 PM by The Maritime Executive)