イスラエル国防軍は12月9~10日、混乱下にあるシリアの水上艦艇部隊が「テロ分子の手に落ちるのを防ぐため」ラタキアとタルトゥースでその大部分を攻撃し破壊した。

 イスラエルにとってシリアの暫定政権を主導する「シャーム解放機構(HTS)」を同盟国などと見なすのは困難だし、同国の治安状況は悪化しアサド関係者に対する報復が激しさを加えていることから、将来の脅威に対するヘッジとしてイスラエルは迅速に空爆を行い、ジェット機から弾薬庫、化学兵器研究所と疑われるものまで、シリアに残された軍事資産のほとんどを効果的に排除した。

 小規模ながらシリア海軍の老朽化した艦艇(ソ連製オサII級ミサイル艇など)も破壊の対象となった。ミサイル艇「Herev(ヘレフ)」艇長トマー中佐が「エルサレム・ポスト」紙に語ったことによると、イスラエル海軍に与えられた任務は、シリア海軍艦艇をHTSや他の過激派に掌握される前に桟橋で破壊することだったという。

 最大8発のハープーン対艦ミサイルを搭載するサール4.5級ミサイル艇「ヘレフ」は、乗組員に任務を伏せたまま高速で北上しシリア海域に進出し、その日の夜には配備位置に着いた。しかし、イスラエル空軍支援のため海岸に配備された対空システムを破壊するために作戦は1日延期された。

 翌日、「ヘレフ」はシリア沿岸近くの海域に戻り、ラタキアに停泊していたシリアのミサイル艇へミサイル攻撃を行い、沈没を確認した。「エルサレム・ポスト」紙によると、イスラエル軍はその日、合計で15隻のシリア海軍艦艇を破壊したという。この15隻がミサイル艇ならば20隻程度とみられた戦力の大半は失われたことになる。

参考資料 “Israeli Missile Boat Commander Details Attack on Syria’s Navy,” (Dec 26, 2024 5:38 PM by The Maritime Executive)