日本最初の海防論 戦前の教科書「尋常小学國史」(大正9年文部省)にはこうある。 寛政の三奇人と呼ばれたる人に林子平あり。仙台の人にて、若き時より学問、武芸に励み、殊に地図を見ることを好みて、終日食事をさえ忘るるほどな...
近代海戦の起こりと変革 高木惣吉少将(海兵43期)が語る近代海戦の変革。 オックスフォード大学の戦史教授シライル・フォールスは、主として使用兵器による区別から近代海戦をクリミヤ戦争以後と言っている。陸戦でいわゆる近代戦時...
古典兵学における精神的要素の評価 高木惣吉海軍少将(海兵43期)が評価する古典軍事学にあらわれた精神要素の大要。 ジョミニの兵術要論(Precis de l’art de la Guerne)には、将帥の資質として、① 大決心をな...
警戒について 勇往邁進の気迫も果敢なる攻撃精神も勝負の世界では必要欠くことのできない絶対的要件である。ただ、これをうちに収めていながら、一撃必倒の間合いまでじりじりと距離を縮めてゆく段階で最も重要なことは警戒とい...
目的について 台所に魚を取りだしたお母さんが、子供に「猫を見といてね」と声をかけ用事に出かける。子供は縁側で昼寝している猫を発見、監視している間に別の泥棒猫が台所の魚を襲撃する。帰ってきたお母さんに、「何を見てい...
兵術研究のむずかしさ 北村謙一元海将(海兵64期)は、初・中級幹部を対象とした『波涛』誌上講義「海軍戦略漫談」の連載開始にあたり次のようなことを語っている。 私がマハンの『海軍戦略』を初めて読んだのは、兵学校第2学年の...
マハン-日本海軍の評価 マハンには多くの「称号」が与えられている。海軍戦史家、海軍戦略家、世界政治の評論家、哲学者、思想家、帝国主義者、海軍至上の海軍主義者、黄禍論を唱えた人種差別主義者、アメリカの歴史に最も影響を与えた扇...
佐藤鉄太郎「帝國国防史論抄」 明治40年我が国が初めて「帝国国防方針」という国防の基本方針を策定した際に、当時の海軍としての思想的背景となったのは元海軍中将佐藤鉄太郎の『海防論』、『帝国国防史論』等であったといわれている。これら...
帝國海軍と海戦要務令 帝国海軍最高の戦術規範として天皇の允裁を仰いで公布され、海軍参謀の虎の巻であった海戦要務令も、戦後は時代遅れで艦隊戦術をミスリードしたとの批判を浴びた。また、大艦巨砲主義とともに、海戦要務令を諸悪の...