「Arctic Light 2025」演習は、9月9日から19日までグリーンランドとその周辺で実施される。デンマーク軍は、フランス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーの要員、総勢550人以上の兵士で、海上、陸上、空中で演習を行う。演習では、北大西洋と北極圏を不安定化する脅威に直面したデンマークとNATOの共同対応能力を強化することに焦点が当てられている。デンマーク軍はまた、事故や自然災害が発生した場合にグリーンランドの市民社会を支援する練習も行う。

演習には、フリゲート「ニールス・ジュエル(Niels Juel)」、F-16戦闘機、EH-101ヘリコプター2機を含む、海軍、陸軍、空軍、特殊部隊、郷土防衛隊(homeguard)部隊が参加する。フランスは支援艦「ガロンヌ(Garonne)」と給油機、ドローンを装備した山岳歩兵が参加する。スウェーデンとノルウェーは郷土防衛隊部隊を派遣し、ドイツはオブザーバーチームとスタッフを派遣する。この演習の主な目的は、北極統合軍の連合軍受け入れ能力をさらに発展させ、連合軍が北極での作戦任務に参加できるようにすることでもある。

この演習は、部隊に厳戒態勢をとらせ、急遽作戦地域に移動するよう命じる、いわゆる即応演習(snap exercise)として計画されている。同時に、参謀演習「オポルチューン・ジャガー(Opportune Jaguar)」がデンマークで実施され、デンマーク軍統合作戦センターは北極圏における不安定化の脅威を特定し、作戦対応を開始する軍の能力を訓練する。グリーンランド領土では、演習参加者はとりわけ、北極圏環境での乗艇訓練、重要インフラの警備、地上ドローンの運用を行う予定だ。あわせて、デンマーク軍は捜索救難(SAR)への貢献、自然災害への対処、海洋環境の保護も実践する予定だ。

今回の演習は、6月に始まったグリーンランドとその周辺でのデンマーク軍のプレゼンス強化の一環である。北極圏の安全保障環境を踏まえ、グリーンランドとデンマークが共同で軍事作戦の強化を開始し、8月にはデンマーク軍もこの地域の同盟国と協力した。

デンマークの巡視船「トリトン(Triton)」は、グリーンランド南部沖でフランスの巡視船「フルマー(Fulmar)」と航行演習を実施し、乗組員は船上で火災が発生したシナリオを訓練した。さらに、ドイツの補給艦「ベルリン(Berlin)」とフランスの支援艦「ガロンヌ」は、カナダの演習「ナヌーク・トゥガアリク(Nanook Tuugaalik)」に参加するためにデンマークの巡視船「ラウゲ・コッホ(Lauge Koch)」とともにヌーク(Nuuk)に寄港した。この寄港には、北極圏の安定を確保すべくNATO諸国が団結していることを示すため、ドイツ国防副大臣とフランス外務大臣の訪問も含まれていた。

参考資料:”Arctic Light 2025: Denmark to Hold Military Exercise in Greenland with NATO Allies,”(Published at: Sep 05 2025 – 16:16 / Updated at: Sep 05 2025 – 16:16 HIGH NORTH NEWS)