ワシントン・ポスト紙によると、空母「ジェラルド・R・フォード」がカリブ海に近づくのにあわせ、空母航空団のパイロットたちはベネズエラの防空網の能力について研究している。ベネズエラの陸上目標を攻撃するかどうかについてのホワイトハウスでの協議は14日も続き、トランプ大統領は同日午後、「私はすでに決心した。それがどうなるかは言えないが」と記者団に語った。

幕僚はトランプ氏に複数の攻撃オプションを提示している。現場兵力は、空母「フォード」に加えて、巡洋艦「レイクエリー」と「ゲティスバーグ」、駆逐艦「グレイブリー」、「マハン」、「ベインブリッジ」、「ウィンストンS.チャーチル」、「ストックデール」、および第22海兵遠征部隊が乗艦した3隻の両用艦艇が含まれる。少なくとも1隻の攻撃潜水艦もこの海域にいる可能性が高い。米海軍は現在、カリブ海に約30万トン相当の艦艇を集結させており、これは冷戦後として最大規模である。

この機動部隊は、トマホーク巡航ミサイルを比較的多数保有しており、限定的な攻撃を行うのに適している。また「フォード」は、米海軍の空爆作戦の標準的な編成であるF/A-18スーパーホーネット攻撃戦闘機の4つの飛行隊と、敵の防空を制圧するためのE/A-18グラウラー電子攻撃機の飛行隊を搭載している。

ホワイトハウスでの協議では特殊作戦の可能性も検討されたとポスト紙は報じた。その場合、作戦範囲が限定的である可能性が高い。現在この海域に展開している部隊は、ベネズエラのような規模の国への全面侵攻に必要な規模よりかなり少ない。ベネズエラよりはるかに小さなパナマへの侵攻(1989年)には、20,000人の米兵が投入されたが、現在、タスクフォースには1コ海兵隊遠征部隊、約2,200人の海兵隊員がいるのみだ。

現在、カリブ海で米国が利用できる長距離火力は、範囲と期間が限られた過去の作戦で使用されたレベルに匹敵する。このような攻撃では、カルテル関係施設とマドゥロ政権関係という2つの目標群が考えられる。

当面、米国は麻薬密輸の疑いのある船舶への空爆作戦を続けている。11月10日現在、20件の攻撃を行い死者は80人に達しているが、作戦はなお継続中である。船舶攻撃の合法性に関する懸念が広く報道された後、司法省の承認準備書面に関する詳細がマスコミに流れ始めている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、攻撃の正当化は、船舶に米国市場向けのフェンタニルが積まれており、それが法的に「化学兵器の脅威」を構成するという前提に(部分的に)基づいていると報じている。

カリブ海での過去10年以上にわたる阻止作戦の中で、米国沿岸警備隊がカリブ海や東太平洋の密輸船からフェンタニルを発見されたと報告したことは一度もなく、発見されるのはコカインのみで、時折大量のマリファナがあった。米国で販売されているフェンタニルの圧倒的多数はメキシコで製造され、南部の陸上国境を越えて密輸されていることが知られている。

司法省の準備書面は、作戦に関与した米軍人に免責を与えることを目的としているが、別個に法的助言を求め始めている者もいる。この攻撃が国際的に民間人の不法な殺害とみなされれば(国連人権高等弁務官事務所などがとっている立場)、この作戦に関与した軍人は海外で訴追される可能性があると専門家は警告している。

「軍人が(司法省の)免責に頼っているとしても、それは、軍人が犯した犯罪や他国への渡航に対して当該国が起訴しない可能性があるという意味ではない。もし彼らが残虐犯罪を犯したという申し立てがあれば、他の国々は、独自の普遍的管轄権を発動し、他国の国内裁判所に提訴することができる」と国立軍事司法研究所所長のフランク・ローゼンブラット氏(退役米陸軍中佐)はPBS(米公共放送)に語った。

参考資料:”Report: USS Ford’s Pilots are Studying Up on Venezuelan Air Defenses,”(Published Nov 14, 2025 11:31 PM by The Maritime Executive)