9月2日、ベネズエラ沖で密輸船と疑われる船を破壊した米軍の攻撃については、過去の慣行とは異なり法執行機関の阻止よりも強硬で、抑止のための致命的なメッセージを送ったと、トリニダードのビセッサール首相のような一部の人々は、非常に支持している。

しかし、国防総省の内外の一部にとっては、新たな法的問題も引き起こされている。海軍特殊戦司令部ミルトン・”ジェイミー”・サンズ3世(Milton “Jamie” Sands III)少将の最近の解任は、今回の攻撃の合法性に対するサンズ少将の懸念に関連している可能性があると複数の政府関係者が「インターセプト(The Intercept_)」紙に語った。また、他の当局者は、法務士官らに萎縮効果をもたらし、それが内部の反対意見を妨げている可能性があると警告している。

国防総省によると、この攻撃で高速ボートに乗っていた11人が死亡した。マルコ・ルビオ米国務長官は記者団に対し、乗組員らは密輸に従事しており、ベネズエラのコカイン輸出貿易の典型的な短距離麻薬ルートであるトリニダード・トバゴに向けて航行中であったと語った。密輸ボートへの攻撃はこの一回限りではなく、ヘグセス国防長官は「この攻撃だけでは止まらない」とし、ルビオ氏もこのメッセージに同調した。両者は、この密輸はトランプ政権が外国のテロ組織に指定したベネズエラのカルテル、「トレン・デ・アラグア(Tren de Aragua)」向けであると主張した。

攻撃を批判する人々は、いくつかの要因を強調している。ボートの乗員は裁判にかけられず、降伏の選択肢が与えられたかどうかも明らかではなかった。麻薬密輸の疑いは、米国では有罪判決を受けた人に対して死刑に処せられることはない。

国防総省内部や一部の元軍弁護士の間では、これらの要因が不安を引き起こしており、そのような攻撃が戦争法の下で犯罪になるのではないかと静かに疑問を呈する者もいる。「麻薬密売人は犯罪者かもしれないが、戦闘員ではない」と匿名の国防総省高官は「インターセプト」紙に語った。

仮に合法であっても、将来、アメリカの敵対者に見習うべき先例を示しめしたという点で望ましくないと強調する者もいる。

「米国は、裁判で検討される証拠によってのみ裁かれる裁判所のモデルが、権威主義政権とは一線を画していると主張している。今回のような海上での「処刑政策」はその主張を損なうだろう」と弁護士のアニー・W・モーガンと潜水艦士官のジェームズ・ハルセル中佐は今週、「プロシーディングス(USNI Proceedings)」誌に書いている。「もしワシントンが海外の密売容疑者を攻撃する権利を主張しているなら、ロシアや中国が同じことをすることを妨げるものは何だろうか?米国は、中国の法律に基づいて「密輸」の疑いで告発されている台湾漁船に中国政府がミサイルを発射することを受け入れるだろうか?」と。

この間もトランプ政権はカリブ海地域での強力な行動を進めている。ホワイトハウスは、水陸両用艦「イオージマ(Iwo Jima)」とその随伴艦に加えて、機動部隊を強化するために10機のF-35戦闘機をプエルトリコに配備するよう命じた。「われわれは、麻薬カルテルがどこにいても、米国の利益に反して活動しているところに立ち向かうつもりだ」とルビオ国務長官は述べた。

参考資料:”Strike on Venezuelan Smuggling Boat Draws Praise, But Also Concerns,”(Published Sep 9, 2025 10:54 PM by The Maritime Executive)