フィリピン沿岸警備隊の巡視船が、マニラの西部排他的経済水域内で中国海軍の情報収集艦に対処した。「テレサ・マグバヌア(MRRV-9701)」は、7月12日朝、フィリピン諸島の西約70マイルで、中国海軍815G型電子偵察艦「天王興(Tianwangxing)(793)」と中国海警局の肖君(Zhaojun)級「4203」と遭遇した。当時、海上法執行パトロールを行っていた沿岸警備隊の旗艦は、中国艦との通信を確立しようと試みた。中国海軍側からは何の応答も得られなかったが、海警船からは応答があり、係争海域に対する中国の管轄権を主張した。

フィリピン沿岸警備隊のジェイ・タリエラ准将の報道発表によると、「テレサ・マグバヌア」は中国艦への対処で「積極的な対応」を取ったという。その対応では、「フィリピン沿岸警備隊は、中国海軍と中国海警局に対し、EEZにおけるフィリピンの管轄権を十分に考慮し、フィリピン沿岸警備隊からの無線通信に応答し、フィリピンのEEZにおける無許可のパトロールや法執行関連活動の遂行をやめるよう注意喚起する」と通告したとしている。

フィリピン沿岸警備隊の最初の対処に続いて、052D級誘導ミサイル駆逐艦「桂林(Guilin)(164)」が、中国の情報収集艦の護衛を開始した。同艦は、Z-9多用途ヘリコプターで飛行作業を行っており、フィリピン側の無線の呼びかけを無視した。その間、「テレサ・マグバヌア」は中国艦艇の動きを積極的に監視した。

「天王興」のミンドロ島沖での行動は、今年初めて米空軍のF-35Aがデビューしたコープ・サンダー(Cope Thunder)空中戦闘訓練の最中に行われた。中国軍の艦艇や民間の調査船は、これまでもフィリピン海域内やその付近を行動してきた。2022年、フィリピン海軍はスールー海の群島海域を航行する東釣魚級「海王星(Haiwangxing)(792)」を3日間追跡した。フィリピン政府は、本年5月、中国の民間調査船が自国の排他的経済水域内で違法な調査を行っていると主張し、沿岸警備隊を派遣してその活動を監視している。

参考資料:”Philippine Coast Guard Intercepts Chinese Spy Ship,” (Aaron-Matthew Lariosa, July 13, 2025 8:18 AM USNI News)