イラン海軍は、ホルムズ海峡の閉鎖の可能性に備えて機雷を敷設艇に積み出し(load out:投稿者注:使用可能状態として弾薬庫から運び出せる状態にはしたのだろうが、実際に敷設艇に搭載したかは不明)ていると、2人の米国当局者が今週ロイターに語った。閉鎖はイラン自身の外交的・経済的利益を損なうものであり、過去閉鎖されたこともないが、機雷の「積み出し」は、イラン指導部が積極的にその選択肢を検討していたことを示唆しているのかもしれない。

機雷戦は、イランが西側の敵に大混乱を引き起こすための最も強力な選択肢の一つとなるだろう。ホルムズ海峡は、世界の石油とLNGの約20%を扱っており、湾岸協力理事会(GCC)諸国のコンテナ貿易量も増加している。ゴールドマン・サックスによると、部分的な閉鎖でさえ貿易を混乱させ、石油価格を1バレルあたり100ドル以上に押し上げることになるとしている。

標的を選んでの攻撃は、対艦弾道ミサイル、無人機、巡航ミサイル、自爆無人機を海上目標に投入するための一連の兵器を保有しているイランにとって、一つの可能性である。しかし、機雷はそれ以上のものを提供する。それらは比較的安価で、敷設が簡単で、除去(掃海)するのが難しく、心理的に威圧的である。係維機雷や沈底機雷はほとんどの船舶で探知できないため、乗組員にとって脅威はあらゆる場所に存在することになる。そして、もし敷設されたとしても、敷設した船はすでにいないので、当事者を特定するのは難しいことになる。

もしイランが海峡で機雷を使用したいと思っていたら、大量の備蓄を利用することができただろう。イランは、ロシア製のMDM-6沈底機雷や強力な中国製EM-52ロケット推進機雷など、さまざまな種類の機雷を5〜6,000個保有している。それらは、小型潜水艇で秘密裏に敷設することも、水上艦艇で敷設することもできる。元英国海軍情報将校のギャブ・ドン(Gav Don)氏は、海峡に機雷が敷設された場合、海上保険会社は海峡の補償を一時停止し、タンカーは停泊を余儀なくされ、通航が停止するだろうと語った。

イランは以前に海峡で機雷を使用したことがある。1980年代後半の「タンカー戦争」では、イランはペルシャ湾とホルムズ海峡の米海軍艦艇を標的に機雷を敷設した。イランの機雷がフリゲート「サミュエル・B・ロバーツ(Samuel B. Roberts, FFG-58)」を沈没させそうになった後、アメリカ海軍は「カマキリ作戦」で報復した。これにより、フリゲート1隻、砲艦1隻、スピードボート3隻を沈め、石油プラットフォーム2基を破壊し、もう1隻のフリゲートを損傷させ、50人以上のイラン軍人が殺害された。

参考資料:”Report: Iran Loaded Out Naval Mines in Preparation to Close Hormuz,” (Published Jul 1, 2025 11:22 PM by The Maritime Executive)