NATO年次首脳会議の終了後、加盟国がウクライナ支援を表明したのに続き、オランダ政府とベルギー政府は、2隻の掃海艇をウクライナに贈与することを発表した。
オランダ国防省は、退役した掃海艇雷ハンターの「 Zr.Ms. Vlaardingen(フラールディンゲン)」とベルギーの掃海艇「BNS Narcis(ナルシス)」が、最近ウクライナ海軍に転属したと発表した。2隻の寄贈は、戦争で荒廃した国がインフラを保護し、貿易ルートを保護し、世界の穀物供給を保護する能力を強化することを目的としている。最終的にボスポラス海峡経由で回航されると、黒海から機雷を除去するウクライナ海軍の能力が強化されるだろう。
「フラールディンゲン」は、ウクライナの都市名である「メリトポリ」と改名され、「ナルシス」は、戦争初期にロシアの包囲で陥落したウクライナの都市にちなんで「マリウポリ」とされた。オランダ政府はまた、別の退役した掃海艇「Zr.Ms. Makkum(マックム)」を贈与すると発表し、年末までにウクライナに引き渡される予定である。艇の名称は、ウクライナの都市ヘニチェスクにちなんで命名される(これらの都市は、現在すべてロシア占領地域にある)。
「フラールディンゲン」と「マックム」はどちらも、昨年退役するまでオランダ海軍に在籍していたアルクマール級掃海艇である。どちらも最大排水量は588トンで、船体はグラスファイバーで補強されたポリエステル製である。この材料は、船の磁気シグネチャを最小限に抑え、水中の磁気機雷を回避するのに役立つ。
「ナルシス」は、1990年からベルギー海軍に在籍していた掃海艇で、贈与前まで現役だった。ベルギーは、同級の艦艇を合計3隻ウクライナに贈与する意向である。「フラールディンゲン」と「ナルシス」のウクライナ海軍への移管は、老朽化した2隻が徹底的なメンテナンスを受け、新しい乗組員との訓練期間を実施した後に行われた。
「オデッサの主要港と黒海の航路は、ウクライナ経済の生命線である。そして、それは常に脅かされている。ウクライナが海上での戦いに勝てなければ、ロシアとの戦争に負けることは確実であり、我々はそれを許すわけにはいかない。だからこそ、ウクライナが掃海艇を運用できることが、海上安全保障と自由な通航にとって非常に重要なのだ」とオランダのルーベン・ブレケルマンス国防相は述べた。
オランダとベルギーは、ウクライナに軍艦を提供した最新のNATO同盟国である。2023年、英国政府は、ウクライナが機雷を探知し、無力化する取り組みの一環として、退役した2隻の掃海艇を同国に引き渡した。
しかし、トルコ政府は、モントルー条約にのっとりボスポラス海峡を戦闘当事国の軍艦に対して閉鎖したため、英国の掃海艇は通過を許可されていない。
閉幕したばかりのNATOサミット2025で、各国の指導者たちは、ロシアとの戦争でウクライナを引き続き支援することを約束した。同盟国は、2035年までに国内総生産(GDP)の5%を中核的な防衛所要と、防衛・安全保障関連の支出に投資することに合意した。支出の一部には、ウクライナの防衛とその防衛産業への直接的な貢献が含まれている。
参考資料:”Ukraine’s Navy Gifted Two Minehunters to Boost Black Sea Security,” (Published Jun 29, 2025 9:23 PM by The Maritime Executive)