フィリピン軍は、5月5日、スカボロー礁から約12海里の海域で同海軍のコルベット「エミリオ・ジャシント(Emilio Jacinto, PS-35)が、中国海軍のフリゲート2隻と中国海警局の海警1隻から妨害を受けたことを公表した。一方、中国人民解放軍南部戦区司令部は、同コルベットが中国の主権を侵害したため中国海域から追放したとの声明を発表した。
中国人民解放軍は、4月20日にもスカボロー礁付近でフィリピン海軍の艦艇に警告を発し、フィリピンに「挑発的な」行動を止めるよう求めた。この際も同様の声明を発表した。中国人民解放軍の報道官は、この事案の後、中国人民解放軍部隊は南シナ海で中国の主権を守り続けると述べており、中国海軍艦艇のプレゼンスがより常態化することが予想されている。
南シナ海では中国とフィリピン間の衝突が生起しているが、最近の両国間の緊張関係は、昨年同時期に比べると比較的低い。しかし、これまではフィリピン沿岸警備隊船艇と中国の海警が対峙することが一般的だったが、海軍艦艇同士が関与するパターンが増えており、この傾向が続くと緊張の激化が懸念されている。
参考資料:China-Taiwan Weekly Update, May 17, 2025 (May 17, 2025 – ISW Press)