中国の調査船「Tan Suo 3」は、4月29日から5月5日までルソン海峡南西のフィリピン北部排他的経済水域(EEZ)内で調査活動を実施した。有人深海潜水艇も、母艦であるTan Suo 3と活動した。フィリピン沿岸警備隊(PCG)は、同船の不規則な動きと、水面から機器を回収したように見える搭載艇の活動に基づいて、中国がフィリピンのEEZ内で違法な海洋調査活動を行っていると非難した。PCGは、5月5日の法執行活動中にTan Suo 3をフィリピンのEEZ外へ追跡したと発表した。

ルソン海峡は、フィリピンと台湾の間の戦略的に重要な海上チョークポイントであり、南シナ海と西太平洋の間の通航路として機能している。中国がこの海峡を支配することは、台湾を軍事的に包囲し、海域管制を達成する能力にとって極めて重要である。

中国の2隻目の調査船である「Zhong Shan Da Xue」は、4月初旬から現在までフィリピンの北西部と北東で活動している。同船はルソン海峡の東西を不規則なパターンで航行しており、海洋調査活動が行われていることを示している。

中国の調査船の活動には、潜水艦の航行を支援するための海底地形図の作成が含まれていた可能性がある。Zhong Shan Da XueとTan Suo 3の有人潜水艇はどちらも海底測量機能を備えている。潜水艦は、台湾周辺の中国の封鎖を維持し、中国の制海権を脅かす敵の水上および陸上目標を攻撃することにより、中国の接近阻止/領域拒否(A2/AD)戦略を支援する上で重要な役割を果たす可能性が高い。

ルソン海峡を横断する調査船の探査は、米国が対艦ミサイル発射装置を海峡の中央に位置するフィリピン北部のバタネス諸島に展開したのと時を同じくしている。中国は、バタネス諸島への対艦兵器の配置を自国のA2/AD構想に対する脅威と認識している可能性が高い。

参考資料:China-Taiwan Weekly Update, May 9, 2025 (May 9, 2025, ISW Press)