米インド太平洋軍司令官は、アリューシャン列島にある冷戦時代の遠隔基地であるアダック(Adak)海軍航空基地の再開を支持しているが、ダン・サリバン(Dan Sullivan)上院議員(共和党、アーカンソー州)は、匿名の中国の海運会社がリース交渉のため現在の土地所有者に接触してきたことを、4月10日の上院軍事委員会の公聴会で述べた。
アダックは冷戦時代を通じて主要な海軍基地であり、ロシアの東海岸近くで兵站と監視の拠点を提供していた。1990年代半ばの基地再編・閉鎖委員会のプロセスの後、1997年に運用を停止し閉鎖された。この土地は現在、地元のアレウト(Aleut)社が所有している。
アンカレッジの西1,000マイルにあるこの港は、アラスカの主要都市よりもロシアのカムチャツカ地方の首都に近いという辺鄙さだ。米国で2番目に雨の多い場所であり、ハリケーン級の北太平洋の冬の嵐を含む強風にさらされている。ピーク時の人口は6,000人だったが、2022年現在の人口はわずか約150人である。
米軍は今でもアダックで時折演習を行っており、2021年以降は基地再開が噂されている。周辺の安全保障環境は変化しており、過去3年間でロシア軍と中国軍は北太平洋とベーリング海で共同作戦を開始し、時に米国の排他的経済水域(EEZ)に侵入するようになった。これらの動きはかなりの注目を集めており、米国の抑止力を強化する場合、アダックは最適なプレゼンスを提供するだろうとサリバン議員は述べた。
米インド太平洋軍司令官のサム・パパロ(Sam Paparo)大将は、同委員会に対し、アダックの再開に賛成しているとし、「当該基地はかなり西方に位置していることから、侵入しようとするあらゆる戦力に対する対処のための時間と距離を稼ぐことができる。…これにより、海軍の哨戒機の偵察海域を最大10倍まで拡大することができるようになる」と述べた。
サリバン議員は、中国が関心を示しているため、緊急にアダック基地を再開すべきと提案した。「アレウト社、彼らは偉大な愛国的なアメリカ人だ。アラスカ先住民は、米国の他のどの民族グループよりも高い割合で軍務についている。彼らは、海軍と99年間のリース契約を結びたいと思っている。しかし、毎年連絡してくるのは、中国の海運会社であり、私の見解では、確かに(中国軍)のフロント企業だ。ペンタゴンや海軍にとって、どれほど恥ずかしいことだろうか。もし彼らが「中国の海運会社」という名目で100年間のリース契約を結んだとしたどうなるだろう?」
サリバンは、アレウト社が中国企業と港湾リース契約を結ぶことは決してないと強調したが、それでもパパロ司令官に意見を求めた。「そうなれば事態は悪くなると思います。なぜなら、これが中国の一帯一路構想の手口だからです」と司令官は答えた。
サリバン議員は、北方軍とインド太平洋軍が基地を再開するための検討に取り組んでいると述べ、今月末までに最終報告書を提出するよう強く求めた。
参考資料:
“Chinese Shipping Company Wants to Lease the Former U.S. Base at Adak,” (Apr 10, 2025 The Maritime Executive)