NATO首脳会議において、トランプ大統領は、米国がフィンランドと交渉し、現在入手可能な中古船の取得を含め、同国から最大15隻の砕氷船の購入を交渉中であることを確認した。
現在フィンランドで入手可能と思われる中古船は「ポラリス(Polaris)」以外にはないのだが、米コーストガードの運用形態には適合しないため、トランプ大統領のいう中古船は不明だ。この「ポラリス」は、ほとんどのフィンランドの砕氷船と同様、バルト海で高い平均速度で商船をエスコートするために設計されたものだ。最小限の乗組員で10日間の寄港サイクルで運航する設計なので、北極圏でのコーストガードの任務とは大きく異なっている。
フィンランドの日刊紙ヘルシンギン・サノマットは先月、ラウマ・マリン・コンストラクションズ(RMC)が27億ドル相当の契約で3隻から5隻の中型砕氷船を供給する可能性があると報じた。また、同国の主要な砕氷船エンジニアリング会社であるAker Arcticは、最近、砕氷船に対する世界的な需要の高まりに対応する能力をさらに強化するために、船舶設計会社のBluetechと合併した。
同様に、カナダの造船会社Davieは、砕氷船の建造能力を強化するために、2023年にヘルシンキ造船所を買収した。今月初め、同社はガルフ・コッパー・アンド・マニュファクチャリング・コーポレーション(Gulf Copper & Manufacturing Corporation)からガルベストンとポート・アーサー(Port Arthur)の造船施設を買収し、テキサス州を新たな米国の砕氷船建造ハブにすることを目指している。
コーストガードは、北極圏での任務を遂行するためには、4-5隻の大型船を含む8-9隻の極地砕氷船が必要になると考えている。コーストガードにとって30年ぶりの新たな砕氷船は、今年の夏後半に就役する予定だ。中古砕氷船「ストリス(Storis)」は、今月初めにミシシッピ州パスカグーラのボリンジャー造船所から出発し、パナマ運河を通過した後、アラスカに向かっている。
参考資料:”U.S. in Talks to Buy 15 Icebreakers from Finland, Trump Says at NATO Summit,” (Malte Humpert, June 25, 2025 gCaptain)