海軍の2026会計年度予算書によると、今月中の予定だった次の空母「ジョン・F・ケネディ(CVN-79)」の引渡しは2027年3月に延期される。
これは、先進着艦拘束装置(Advanced Arresting Gear(AAG))認証の完了と先進武器運搬エレベーター(Advanced Weapons Elevator(AWE))艤装作業の継続のためである。これら二つの装置は、フォード級から新たに採用されたシステムである。
現在、海軍は新空母を正式な引渡しの前に予備的に受け入れ、極力早期に艦隊作戦と戦闘可能な空母に移行させる方策を関係者と緊密に連携して模索している。
空母を建造するハンチントン・インガルス・インダストリー社(HII)のニューポートニューズ造船所の広報担当者は、同級の一番艦の建造から得た教訓を後続艦に適用していると述べた。ただ、「ケネディ」の工事は、多くの教訓が得られたときにはかなり進捗しており、タイムリーに反映させることができなかった。しかし、その後の「エンタープライズ(CVN 80)」と「ドリス・ミラー(CVN 81)」には、建造プロセスの早い段階で取り入れることができた。
就役50年目となる最古の航空母艦である「ニミッツ(CVN-68)」は、2026年5月に退役する予定であり、「ケネディ」が就役するまで、空母の隻数は11隻から10隻に減少することになる。
2024年度の予算書によると、海軍は2020年にケネディの2段階引き渡し方式から、空母の詳細設計と建造契約で2年分の作業を追加することになる1段階引き渡しに切り替えている。追加の作業には、空母に第5世代のF-35C統合打撃戦闘機ライトニングIIを展開可能にするもの(海軍は当初、後日装備を計画していた)と新しいエンタープライズ対空捜索レーダーの装備が含まれている。
海軍当局は、当初、2段階引渡し方式により、引き渡された「ケネディ」と除籍前の「ニミッツ」のオーバーラップを最小限に抑えることにより、造船所の建造コストと人員配置の運用コストを節約できると考えていた。しかし、海軍の最新空母が最新の戦闘機を配備できないことに怒った議員たちが、就役訓練を完了する前にF-35Cの改造を要求したため、海軍は2段階の引渡し方式を放棄することになった。この4月には、海軍当局者が議会で、「ケネディ」が2026年に引き渡されることを期待していると述べたばかりだった。
最新の予算書によると、将来の「エンタープライズ(CVN-80)」もほぼ1年の遅れに直面している。同空母は、昨年時点の予定である2029年9月ではなく、2030年7月に引き渡される予定である。この遅れは、材料の入手と業界のサプライチェーンのパフォーマンスの遅れが原因であるとされている。
「CVN 80のスケジュールは、納入順序が重要な資材の遅れによって引き続き厳しい見通しとなっている。
2024年に行われた「45日間の造船レビュー」の一部として評価された18〜26か月の遅延は、いまや建造全体のリスクを伴い28か月に伸びている。海軍は造船業者と緊密に協力して、これらの見通しの改善にあたっているところだ。
参考資料:”Carrier John F. Kennedy Delivery Delayed 2 Years, Fleet Will Drop to 10 Carriers For 1 Year,” (Mallory Shelbourne, July 7, 2025 4:17 PM – Updated: July 7, 2025 5:02 PM USNI News)