昨年末にシリアのアサド政権が崩壊して以来、地中海におけるロシア海軍のプレゼンスは劇的に減少している。本年1月、シリアの新政府は、NATO南正面のロシア唯一の恒久的な基地であったタルトゥースを取り戻し、ロシアは主要な整備補給施設を喪失した。

ウクライナは対艦ミサイルでロシアの黒海艦隊を壊滅させ、バルト海では、新たに配備されたドイツ艦艇がロシアのプレゼンスに挑戦している。このため、ロシアが遠隔地にプレゼンスを展開することは困難になっている。専門家は、ロシアはなお有力な潜水艦部隊を保有しているが、バルト海のキロ級を地中海に回すのは非常に困難だとみている。ロシアが地中海に力を投射できないことは、中東に対する影響力を大きく失いつつある兆候だ。

NATO関係者によると、本年1月以降、ロシアと同盟国との間で実被害を伴う事案は発生しておらず、ロシアは衝突を避けるために艦艇間の通信を保っているが、バルト三国に対する非対称戦に向かって動いていると警告している。「通常兵力を動員できない場合、他の手段に頼らざるを得ない。それがドローンによる挑発だ」

欧州連合国最高司令部の副参謀長ワゲネン少将はサラエボ安全保障会議において「これらに反撃することは、新たなリスクを伴う。ロシアが複数の戦域でグレーゾーン戦術に訴えているため、NATOはクレムリンの意図を慎重に確認する必要がある」と述べている。

参考資料:”Russia struggling in the Mediterranean Sea,”(By JACK DETSCH and GISELLE RUHIYYIH EWING  10/01/2025 04:08 PM EDT POLITICO)