中国海警局は、セカンド・トーマス礁のフィリピン海軍揚陸艦「シエラ・マドレ」への補給を「許可した」と主張。中国が主張する南シナ海の領有権を強化することが狙いである可能性が高い。

フィリピン軍は、4月9日、海軍揚陸艦「シエラ・マドレ」の乗組員交代と補給を実施したと発表した。中国とフィリピンは2024年7月に同艦の補給任務中の両国の対立を避ける暫定協定を結び、現在まで中国の嫌がらせは止まっている。

両国間の緊張がピークだったのは2024年6月の同艦への補給任務中だった。今回は、暫定協定の調印以来、7回目の補給任務となる。

「シエラ・マドレ」は座礁した軍艦で、1999年以来、セカンド・トーマス礁でフィリピン軍の前哨基地として機能している。中国政府の報道官である劉徳軍(Liu Dejun)は声明を発表し、「違法に座礁した「シエラ・マドレ」」へのフィリピンの補給任務は「中国の許可を得て」行われたと述べた。これは中国がセカンド・トーマス礁に対して法的管轄権を有しているという印象を与えることを目的としたもので、フィリピンはこれを拒否している。

フィリピン沿岸警備隊は、スカボロー礁近くのZambales沖で中国海警局が危険な作戦を行ったと非難し、フィリピンEEZのこの海域での両国の対立は2週目を迎えた。

スカボロー礁は、2012年に中国がフィリピンから奪取した南シナ海の係争中の環礁である。フィリピン側のスポークスマンJay Tarrielaは、巡視船「Cabra」が中国の「海警21612」がフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内での違法な調査活動と疑われるパトロールをしているのに対処したと報告した。

「海警21612」は「Cabra」の左舷に非常に接近して航行し、フィリピン領海を侵害しているとの警告を発せられると、「Cabra」の針路を塞いだ。中国共産党は声明を発表し、フィリピンが国際法に違反して行動し、危険な作戦を行っていると非難した。フィリピン側は4月5日に「Cabra」を配備し、ルソン島中央部のZambales周辺の海警の活動を監視していたところ、スカボロー礁付近で衝突寸前になった。フィリピンのメディアは、これら2つの事件は、海警が短い小康状態の後、Zambalesの海岸に戻ったことを示していると報じた。海警は、2024年後半から2025年初頭まで、この地域に連続して行動し続けていた。

参考資料:ISW Press「中国-台湾ウィークリーアップデート(2025年4月18日)」データカットオフ: 2025 年 4 月 15 日