ロシア海軍太平洋艦隊は8月27日、水上艦艇と潜水艦救難艦の支援を受けたキロ級潜水艦2隻が8月初旬に日本海を航行したと発表した。この潜水艦パトロールは、中露の二国間軍事活動の拡大を示している。
ロシアの潜水艦「ヴォルホフ(Volkhov, B-603)」と中国潜水艦は日本海の哨戒行動を行った後、東シナ海に入り、両艦はそれぞれの海軍基地に帰投した。「ヴォルホフ」は27日、2,000マイル以上を航行した後、ウラジオストク基地に戻った。コルベット「グロムキー(Gromkiy, 335)」は、潜水艦の哨戒中の支援にあたった。海上自衛隊は8月14日と20日に対馬海峡を通峡するロシア艦艇を発見したが、「ヴォルホフ」は浮上していたという。
海上自衛隊はまた、8月13日に対馬海峡を通峡して東シナ海に入った中国海軍駆逐艦「ウルムチ(Urumqi, 118)」と潜水艦救難艦「西湖(Xihu, 841)」を追しょうした。タスクグループの一艦だったと推定される潜水艦「万里の長城210」は、おそらく海峡を潜航して通過したため、目視はされなかった。
潜水艦共同パトロールは、ロシアが「海上交流2025」、中国が「共同海上2025」と名付けた年次の中露共同演習の後に始まった。両海軍は、8月1日から5日までウラジオストクと日本海で訓練を行い、参加艦艇には、ロシア海軍駆逐艦「アドミラル・トリビューツ(Admiral Tributs, 564)」、コルベット「グロムキ(Gromkiy)」、潜水艦救難艦「イーゴリ・ベロウソフ(Igor Belousov)」、潜水艦「ヴォルホフ」、中国海軍駆逐艦「ウルムチ」と「紹興(Shaoxing, 134)」、艦隊給油艦「千道湖(Qiandaohu, 886)」、潜水艦救難艦「西湖」、潜水艦「万里の長城210」などが含まれていた。
ロシア国防省によると、演習中、両国の潜水艦と潜水艦救難艦はウラジオストクの入口であるピョートル大帝湾で潜水艦救難訓練を行った。ロシアの潜水艦「ヴォルホフ」が緊急事態を模擬し中国の救難艦「西湖」が救難に当り、「イーゴリ・ベロウソフ」は中国潜水艦で同様の演習を実施した。
中国とロシアは2021年に合同海上パトロールを開始した。この最初のパトロールは、日本の本州と九州沖の公海を10隻の艦艇が行動したため、日本は挑発的と捉えたが、中露両国は、パトロールは国際法に準拠しており、どの国も標的にしていないと述べた。
当時の中国国防部は、「巡航中、共同編隊は国際法の関連規定を厳格に遵守し、他国の領海には入らなかった。この共同海上巡航は、新時代における中露包括的戦略的パートナーシップをさらに発展させ、両当事者の共同行動能力を強化し、国際的および地域の戦略的安定を共同で維持することを目的としている」との声明を発表した。それ以来、両国は昨年を除いて毎年合同海上哨戒を実施している。
2023年の合同パトロールはアラスカとアリューシャン列島付近で行われた。2024年7月のパトロールは韓国の済州島の南で始まり、艦艇は大隅海峡を航行して西太平洋に入った。彼らは最終的にフィリピン海を通過し、南シナ海で終了した。
2024年10月には、ロシアのサハリン島から太平洋とフィリピン海を航行し、沖縄と宮古島の間を航行して東シナ海に入り、艦艇が中国の青島港に停泊して終了した。
中露は、日本周辺の空域で共同爆撃機飛行を行っているが、昨年は7月にアラスカ防空識別圏で共同爆撃機飛行を実施した。日本は防衛白書『日本の防衛2025』において、このような繰り返される共同活動は、明らかに日本に対する武力の誇示を目的としており、国家安全保障の観点から重大な懸念事項であると述べている。
参考資料:”Russian, Chinese Submarines Sail Together in Sea of Japan,”(Dzirhan Mahadzir, August 28, 2025 2:26 PM USNI News)