ヘグセス米国防長官がハワイ、グアムを経由して3月28日から2日間フィリピンを訪問、その後日本を訪問、硫黄島での80周年行事にも出席する予定だ。

 これに先立ち、フィリピンのテオドロ国防大臣は3月24日、フィリピン軍西部方面コマンドの49周年記念式典での演説で南シナ海への中国進出を阻止する計画を発表した。大臣は、中国の悪意ある進出を「積極的に阻止する」能力を構築し、部隊の態勢を改善する必要性を訴えた。

 西部方面コマンドは、フィリピン軍の地域統合部隊であり、セカンド・トーマス礁、サビーナ礁、カラヤーン諸島等を担当している。大臣は、「この部隊は、複合的な脅威に対するマルチドメイン・相互運用可能な軍隊の実験場の先鋒にいる」と述べ、マニラが「西フィリピン海」と呼ぶ西側の排他的経済水域(EEZ)への侵入者を監視、対処するための阻止能力の必要性を強調した。フィリピン海軍からこの地域への配備兵力には、2023年に米国から移管されたサイクロン級沿岸哨戒艇とアセロ級哨戒艇が含まれる。大臣はまた、戦略的なベーシング(基地機能の展開)や指揮統制機能の改善の必要性も強調した。

 式典に引き続き、南シナ海に駐留する部隊向けに3隻の攻撃艇(assault boat)、対ドローン銃、特殊部隊の潜水装備、対物ライフル、高速ボートが配備された。テオドロ大臣は中国に対する抑止手段が何を意味するのかを明らかにしなかったが、多くのフィリピン当局者は、タイフォン(Typhon)システム(トマホーク巡航ミサイルやSM─6ミサイルを搭載する移動可能な地上発射型ミサイル発射システム)を調達したいと表明している。このシステムは、昨年、陸軍第1マルチドメイン機動部隊によりフィリピン北部に配備されたが、中国当局が懸念を示したものだ。

 南シナ海海域でのフィリピンと中国間の「事件」は、2023年から2024年にかけて大幅に増加した。2024年6月には、戦車揚陸艦「BRP Sierra Madre (LT-57)」(1999年以降、セカンド・トーマス礁に座礁状態)への物資補給をめぐり緊張が頂点に達し、中国海警局が同艦に乗り込みフィリピン海軍特殊部隊を攻撃したのは記憶に新しい。

 テオドロ大臣は、南シナ海での緊張の高まりは、中国共産党の「自己拡大」の追求によるものだと考えている。これ以降、事件は減少しているが、フィリピンは「the Comprehensive Archipelagic Defense Concept(包括的群島防衛構想)」と呼ばれる新たな計画を推進している。この計画は、共産主義者やイスラム過激派に対する国内治安作戦に長年焦点を当ててきたフィリピン軍に対し、群島の7,641の島々を囲む空中および海洋領域にその範囲を拡大することを求めている。大臣は、同国が自国を維持するためには、排他的経済水域の「隅々まで」必要だと述べた。

 式典には、マニラの米国大使館を拠点とする対フィリピン米軍統合支援グループ(Joint U.S. Military Assistance Group to the Philippines)の要員も出席した。テオドロ大臣は、米国の要員を称賛し、西フィリピン海に関連する海洋領域監視、情報収集、訓練、その他の活動でフィリピン軍を支援した米比二国間部隊である「Joint Coordinating Element-West(統合調整エレメント・ウェスト)」を表彰状を授与した。

 オースティン前米国防長官は、2024年11月に同地域を最後に訪問した際、南シナ海におけるフィリピン軍支援に特化した米軍任務部隊(タスクフォース)の存在を明らかにした。新しいピート・ヘグセス(Pete Hegseth)米国防長官にとってフィリピンはインド太平洋で初めて訪問する国であり、国防総省のニュースリリースによると、ホスト国の軍隊と前方展開された米軍、およびフィリピンの指導部と会談する予定である。

 ヘズセス長官はテオドロ大臣との以前の電話会談で、「南シナ海における抑止力の再構築」の重要性を強調しているが、何かと話題になっている第二次トランプ政権の政策だが、肝心の対中抑止について、今回の訪問の成果が注目されるところだ。

参考資料:Aaron-Matthew Lariosa, “Philippine Defense Chief Calls for Stronger South China Sea Presence Ahead of SECDEF Hegseth Visit,” (March 25, 2025 7:00 PM, USNI News)