パナマ運河は、運河の両端に建設される新しいターミナルの運営業者を選択するための1年にわたるプロセスを開始した。同時に当局は、香港のCKハチソンが運営し、中国と米国の地政学的紛争に巻き込まれた既存のターミナルの代替案を検討している。

発表された代替案は、パナマ運河の両端にターミナルを開発するものであり、コンテナ積み替え能力を年間500万TEU増加させるものだ。パナマ当局は、このプロジェクトを複合一貫輸送のハブとしてのパナマの競争力を強化し港湾能力を増やすと同時に、米国からの圧力にも応えるものと位置づけている。

パナマ運河会社は、ターミナル運営の大手企業22社と大手コンテナ運送業者が、新ターミナル計画に関するプレゼンテーションに出席したと発表した。主な業者としては、APMターミナル、コスコ海運港、CMAターミナル、DPワールド、ハンザ・グローバル・ターミナル(HAPAG)、MOL、PSA International、SSA Marine-Grupo Carrix、ターミナル・インベストメント・リミテッド(MSC)などが参加した。大手船社としては、CMA CGM、ONE、Evergreen、Hapag-Lloyd、HMM、Maersk、MSC、OOCL、COSCO、Yang Ming、Zimなどのほか、ヒューストン港も出席した。

パナマは、入札者の事前資格認定と企業との交渉を経て、2026年第4四半期に選考プロセスを完了することを想定している。また、バルボアとクリストバルに設置されるであろう各ターミナルの実現可能性調査も実施する予定だ。この調査で一般的なプロジェクト内容、そして最終的には契約業者の選定に必要な情報を提供する。彼らは、2カ所のターミナルの費用は260万ドルになると見積もっている。

パナマには現在5つのターミナルがあり、合計で年間900万TEU以上を扱っている。しかし、焦点はCKハチソンが運営する2つの会社にあり、2021年に運営委託契約を25年間延長した。中国企業が運営するターミナルに対する政治的懸念に加えて、パナマの司法長官がパナマ最高裁判所に提起した法的異議申し立てが係争中である。彼らは、当該契約は入札手続きを経ていないため違法であると主張している。ハッチソン側は、契約に基づくすべての義務を果たし、事業に投資しているとして、その正当性を主張している。

パナマ運河会社の関係者は、最高裁で契約が無効になった場合、サプライチェーンを維持するための暫定運営者として自ら運営に介入するとしている。この場合、新たな入札プロセスで新規契約を締結するまでに12〜18か月かかると予想している。しかし、彼らは、今年初めにMSCのターミナル・インベストメント・リミテッドからの投資を受け、米国に本拠を置くブラックロックが主導するパートナーシップに利権を売却することを提案したCKハチソンと契約に達する可能性が残されているとも考えている。COSCO(中国遠洋海運集団有限公司)にターミナルの運営権を新たなパートナーシップとして維持させる交渉が進行中である。

参考資料:”Panama Canal Begins Process to Select Operator for New Terminals,”(Published Oct 28, 2025 6:09 PM by The Maritime Executive)