カナダ沿岸警備隊は、水産海洋省から国防機関に正式に移管され、その役割を拡大することになる。この統合は、沿岸警備隊、国防省、カナダ軍間の情報共有と連携の強化を目的としているが、米沿岸警備隊とは異なり、カナダ沿岸警備隊は軍事機関ではなく一般の政府機関であり続ける。
沿岸警備隊の人員やアセットを武装させたり、追加の法執行任務を加える計画はなく、捜索救難、砕氷、環境保全、航行安全、海洋科学の支援など、引き続き提供するとされている。
カナダ議会に提出された新しい法案が可決されれば、沿岸警備隊の国家安全保障上の役割はさらに拡大されることになる。「国境強化法(Stronger Borders Act)」は、特にカナダ北極圏において、沿岸警備隊に海洋領域認識責任を追加することを提案している。北極圏での戦略的競争が激化し、北西航路へのアクセスがますます容易になっている時代において、極北の遠隔地で監視のために追加のアセットを加えることは、安全保障上の利点をもたらす可能性がある。
今年初めの前回選挙で、カナダの自由党はカナダ沿岸警備隊を海洋領域認識活動に備え、NATO作戦を支援する準備を整えることを公約した。そうすることで、カナダは既存の沿岸警備隊の支出をNATOの防衛支出目標に充てることになる。カナダは、2014年にGDPの2%に設定され、現在は2035年までに5%に引き上げられる予定のNATO即応性貢献目標を長い間下回っている。
参考資料:”Canada Moves its Coast Guard Into its Defense Ministry,”(Published Sep 3, 2025 2:40 PM by The Maritime Executive)